後遺症害認定
交通事故後に治療を続けるも、ある時点で、これ以上治療を続けても回復が見込めない症状や機能が残存した状態を後遺症害といいます。(手足の痺れや骨折による変形等)
通院治療を6ヵ月以上続けるも、症状固定の状態になり、かつ後遺障害が残存する可能性がある場合、後遺症害認定の申請をします。その際には医師によって作成された後遺症害診断書が必要です。後遺症害は1級~14級まで分かれていて、残存した症状などによってどの等級に該当するのかが審査されます。(後遺症害の認定審査を受ける場合、6ヵ月以上の通院治療がなければほとんどの場合、等級を認定されません)等級が認定されると後遺症害慰謝料が支払われます。
【自賠責保険基準の場合】
入通院慰謝料
120万円
後遺症害慰謝料
1級4,000万円~14級75万円
後遺症害慰謝料は入通院慰謝料の120万円の限度額とは別枠になります。複数の等級に該当する場合でも一番上の等級のみ認められます。
むちうち症状の場合に限って言えば“手足のしびれ”が後遺症害として残存しやすい傾向にあります。その際は12級13号か14級9号に該当します。
後遺症害等級一覧
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの
12級と14級の違いは【神経症状を医学的に説明できるかどうか】です。例えばCTやMRIで明らかに神経症状の原因となる画像所見が見つかった場合は12級ですし、画像所見では異常がないものの、神経症状が残存する場合は14級になります。
ただし認定審査を受ければ必ず等級が得られる訳ではありません。そこにはちょっとしたコツがあります。
事前認定と被害者請求
後遺症害認定の申請方法には2種類あります。後遺症害の認定を相手の任意保険会社に任せる事前認定と自分でおこなう被害者請求です。一般的に被害者請求の方が認定される確率が高いのですが、様々な必要書類を記入・収集する手間がかかり大変です。
事前認定
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メリット
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申請の手続きが簡単
後遺症害診断書を保険会社に提出するのみ |
デメリット
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後遺症害の認定率が低い
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被害者請求
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メリット
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後遺症害の認定率が高い
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デメリット
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申請の手続きが面倒
多くの書類の記入・収集が必要になる |
※被害者請求に必要な書類:後遺症害診断書・診断書・診療報酬明細書・印鑑証明書・交通事故証明書・支払い請求書兼支払指図書・事故状況説明図etc.
事前認定で申請した場合、相手の保険会社が被害者に適正な等級が認定されるように積極的に働きかけることはありません。例えば医師の作成した後遺症害診断書の不備であったり検査の不足を指摘してくれることもありません。適正な等級の認定を望むのであれば被害者請求をお勧めします。その場合は交通事故専門の行政書士に依頼すると書類の記入・収集などの労力がかなり減少します。西院かんな整骨院でも交通事故専門の行政書士と提携しております。
後遺症害診断書のもらい方
特に決まった方法はありませんが、通院治療が6ヵ月を過ぎ、症状固定に近づいたら診察時にでも『後遺症害の申請をしたいので後遺症害診断書を書いてもらえませんか?』と医師にお願いしてください。
医師により後遺症害診断書の書き方は様々。
行政書士に依頼すると適切な後遺症害診断書の作成をサポートしてもらえます。
認定審査の実情
後遺症害認定審査は損害保険料率算出機構という国の機関がおこないます。毎日膨大な請求に公平かつ迅速に対応する為に原則として書面主義でおこなわれます。つまり実際の患者さんを面接などで見るのではなく、提出された書面のみで等級を認定します。ですから提出する書類に不備や不足があれば実際には後遺症害が残存していても認定されません。
等級の認定は【その人の後遺症が、どの級のどの号の要件に合致しているか】、【その人の後遺症には事故との因果関係があるのか】など、基準に沿って書面で判断されます。つまり、後遺症害診断書に等級の基準や要件に合致しない症状がいくら書かれていようが認定はされません。
簡潔に書かれた後遺症害診断書でも的を得ていれば認定されます。逆にびっしり書かれた後遺症害診断書でも的外れな事が書かれていれば認定はされません。医師は後遺症害診断書を書くことを専門にしているわけではありません。そうした場合でも行政書士に依頼すれば適切な後遺症害診断書を作成してもらえるようにサポートしてもらえます。
後遺症害診断書を作成できるのは医師のみです。ですから後遺症害が残存しそうな場合は必ず月に1~2度は病院での診察を受ける必要があります。その際、症状をしっかりと伝える事が大切です。